ファーティリティコーチTreatment Gapテレヘルス福利厚生不妊治療

ファーティリティコーチとは? Part 1 ─ “Treatment Gap”の味方

医療の説明が追いつかない“Treatment Gap”に対し、患者に伴走する第三者の専門職=ファーティリティコーチの役割を解説します。

著者Better Freeze Editorial
公開日2025年7月10日

高度化する生殖医療の現場では、情報量・タスク・意思決定が複雑化し、患者と医療の間に“Treatment Gap(治療の溝)”が生じがちです。ファーティリティコーチは、その溝を埋める「患者側の味方」として、治療計画の整理から生活・職場調整、感情面の支えまで横断的に伴走します。

1. “Treatment Gap” とは何か

技術が進むほど説明が増え、患者は投薬・通院・検査・意思決定の負荷に直面します。院内スタッフのケアだけでは埋まりにくい“Treatment Gap”が生まれ、治療離脱の一因にもなります。

コーチは医療行為は行いませんが、患者側の視点で情報を整理し、複数の治療法や施設を比較しながら、合意形成と行動計画づくりを支援します。

ハイライト
  • 情報過多・時間制約・心理的負荷を横断的にケア
  • “患者の意思決定力”を回復させる伴走者

2. ケース:共働き夫婦Nさんの「夜が明けるまで」

複雑な投薬計画でミスが続き、自己注射の失敗から夫婦げんかへ──。コーチ介入後、まず“全部書き出す”から着手。

投薬をGoogleカレンダーで共有/夫婦双方にアラート送信/職場上司への説明テンプレ整備──結果、注射ミスは0に、通院の遅刻も解消。「第三者の味方が入ることで、互いを責める時間が減った」と振り返ります。

ハイライト
  • タスクの可視化+仕組み化でヒューマンエラーを削減
  • 関係調整(家庭・職場)まで含めて支援

3. なぜアメリカで広がったのか

①福利厚生の拡充:企業の生殖医療ベネフィットにコーチ費用が含まれるケースが増加。

②テレヘルスの一般化:州をまたぐオンライン相談で地方居住者にもアクセスが拡大。

③“Treatment Gap”の顕在化:医療側も連携メリットを認識し、補完関係が進展。

4. 日本での可能性と宿題

普及のカギは、医療広告ガイドラインとの整合性と役割の線引き(医療行為は行わない)を明確にすること、そして男性妊孕性ケアの接続を強化することです。

患者・パートナー・職場・医療を“チーム化”できるかが、離脱防止と成果の鍵になります。

5. よくある質問(抜粋)

Q. 院内カウンセリングと何が違う? A. 院内は自院治療を前提に助言、コーチは患者視点で施設横断・生活全体を設計します。

Q. 料金の目安は? A. 米国で1セッション80–150ドル、日本では8,000–15,000円程度が目安です。

次回予告

「5本柱のサポートを、どんなツールと手法で実践しているのか?」──具体例と、AIチャットボットを併用した最新モデルを紹介します。

FAQ

このトピックについてよくある質問をまとめています。

医療行為や診断はしてくれますか?
コーチは医療行為・診断は行いません。情報整理・行動計画・コミュニケーション支援を担います。
保険や福利厚生は使えますか?
米国では福利厚生に含まれる例があります。日本ではサービス提供者にご確認ください。