はじめに
IVFや卵子凍結では、採血・注射・通院のタイミングが細かく変化し、全体像が見えづらく感じがちです。本稿は、卵胞期と黄体期の基礎、刺激から採卵までの流れ、期間中の生活上の注意、通院頻度、FAQを中立的に整理します。
1. 卵胞期と黄体期の基礎
- 卵胞期(生理1日目〜排卵、目安約14日):複数の卵胞が育ち、最も成熟した卵胞が排卵へ進む。E2やFSHなどの基礎ホルモン値を参考に刺激開始時期を決める。
- 黄体期(排卵〜次の生理、目安約14日):プロゲステロンが上がり子宮内膜を整える。新たな刺激は通常行わず、移植や回復のフェーズ。
卵胞期=“育てる”、黄体期=“受け入れ準備”。この二層構造を理解すると全体の見通しが立ちやすくなります。
2. タイムライン(平均的な目安)
ステップ | 内容 | 所要期間(目安) |
---|---|---|
初診・準備 | 採血・ホルモン・超音波で計画を立案 | 約2〜4週間 |
卵巣刺激 | 自己注射中心に通院で微調整 | 約10〜14日 |
採卵手術 | 経膣下で採卵(麻酔下) | 当日(30〜60分) |
受精・培養/凍結 | 受精・胚盤胞まで育て凍結へ | 約5〜6日 |
黄体期・回復 | 次周期以降で移植準備・回復 | 約2週間 |
年齢・AMH・既往・施設方針で前後します(“幅”で理解を)。
3. 刺激中の生活ガイド(Do/Don’t)
- 食事:偏らずにたんぱく質・鉄・水分を十分に。アルコールは控え、喫煙・大麻などは避ける。サプリ・常用薬は必ず申告。
- 運動:ウォーキングや軽いストレッチは可。高強度・腹圧が強い運動は控える。
- 性行為:施設指示を優先。一般に採卵2〜3日前から控えることが多い。
- 睡眠・ストレス:良質な睡眠はホルモン安定に有益。通院スケジュールの見通し共有で不安を軽減。
4. 通院の頻度と所要時間
刺激期間中の通院は平均2〜4回、1回あたり20〜30分が目安(朝一受診が人気)。結果に応じて注射量や日程が微調整され、毎回「次に何をするか」が明確になります。
5. 採卵前後に注意したいこと
- 採卵前:水分を十分に。麻酔安全のため前夜から絶食指示が出る場合あり。
- 採卵後:1〜2日は安静を心がける。腹部の張りや軽度出血は一過性のことが多いが、痛みが強ければ医師へ相談。アルコール・喫煙・性行為は目安5日控える。
6. コラム:働きながら進める工夫
早朝外来・週末採卵・オンライン説明を活用すると、日中の業務と両立しやすくなります。海外では卵子凍結休暇を設ける企業も増加。“1か月をどう刻むか”の時間設計がストレス軽減に有効です。
7. まとめ
- 卵胞期=育てる、黄体期=整えるという二層構造を押さえる。
- 1サイクルは概ね約1か月。刺激は10〜14日、採卵は当日実施。
- 生活上のDo/Don’tと通院計画を“幅”で捉え、主治医の指示を最優先に。