BetterFreeze 基礎ガイド・Series ONE

Egg FreezingEmbryo FreezingDecision FrameworkPGTFertility Planning

卵子凍結か、胚凍結か ― 目的別・将来設計から選ぶ意思決定マップ

公開日2025年10月18日

はじめに

卵子凍結と胚凍結は、どちらも将来の妊娠の可能性を残す手段ですが、目的・状況・パートナーの有無によって最適解は変わります。本稿は「何を軸に決めるか」を中心に、特徴と向いているケース、ハイブリッド設計、PGTの位置づけ、FAQまでを整理します。

1. 卵子凍結と胚凍結 ― 定義を整理

項目卵子凍結胚凍結
対象未受精卵(精子不要)受精済み胚(精子が必要)
主目的将来の柔軟性の確保移植時の成功率を高める
法的扱い単独所有でシンプル共有物で同意が必要

卵子凍結は「今は決めきれない」に強く、胚凍結は「今の関係で前に進む」に強い傾向があります。

2. 卵子凍結が向いているケース

  • パートナー未定、将来計画が流動的で柔軟性を残したい。
  • キャリアや留学・海外赴任などで妊娠時期を先送りしたい。
  • 将来的にドナー精子の利用も視野に入れている。
例:30代前半、数年は仕事優先。若い卵子を今のうちに保存し、将来の選択肢を確保。

3. 胚凍結が向いているケース

  • 現在のパートナーと将来の妊娠を具体的に計画している。
  • PGT(PGT-A/PGT-M)を活用し、移植前に情報を得たい。
  • 移植時の成功率とスピードを重視したい。
例:後ろ倒しにせず、早めの妊娠を目指すカップル。胚で進めると移植準備がスムーズ。

4. ハイブリッド設計(両方を“分けて”凍結)

採卵で得た卵子を割合で分け、卵子凍結と胚凍結を同時に行う方法です。ライフプランの不確実性と成功率をバランスできます。

配分例狙い
卵子60%/胚40%柔軟性を広めつつ現実性も確保
卵子40%/胚60%現パートナー軸で進めつつ将来変化に備える

5. 判断フレーム:将来像 × コントロール軸

卵子凍結が適す胚凍結が適す
将来像の明確さ未定・柔軟にしたい明確・現パートナーで進める
意思決定の自由度個人で完結したい二人で合意して進める
妊娠までのスピード将来に備える早めの妊娠を目指す
法的リスク単独所有でシンプル同意・契約を要し複雑

6. ケースで考える

Case A:32歳・海外赴任予定

妊娠時期は未定。若い卵子を保存して柔軟性を確保するため、卵子凍結を選択。

Case B:37歳・婚約中

早めの妊娠を目指し、PGT-Aも検討。胚凍結で移植準備を前倒し。

7. コラム:決めきれない時は“配分”を決める

迷ったまま止まるより、まず採卵を行い、その結果(個数・状態)を見てから卵子と胚の配分を決める方法があります。「どちらか一方」ではなく「どこまで今決めるか」を設計しましょう。

8. まとめ

  • 卵子凍結=柔軟性の確保。胚凍結=成功率とスピードの優先。
  • 両立(ハイブリッド)も可能。配分でリスクと将来変化に備える。
  • 判断軸は「将来像 × コントロール軸」。いまの自分に合う現実解を。

FAQ

このトピックについてよくある質問をまとめています。

卵子凍結から後で胚凍結に切り替えられますか?

可能です。凍結卵子を解凍し、精子と受精させて胚にします。ただし胚は共有物となるため、法的な同意手続きが必要です。

胚凍結後に別れたらどうなりますか?

双方同意なしに使用できないのが一般的です。初回の同意書に破棄等の方針を明記します。

費用はどちらが高い?

一般に胚凍結は受精・培養・PGT費用が加わり高め。ただし移植工程が効率化し総費用が抑えられる場合もあります。

日本でも可能?法的な注意は?

日本は未婚の卵子凍結は可能な施設が多い一方、胚凍結は既婚・事実婚を前提とする施設が多いです。国・州・施設方針を必ず確認してください。

出典: BetterFreeze concierge case notes / ASRM guidance on oocyte and embryo cryopreservation

理解してから、選びましょう。

BetterFreezeでは、信頼できるデータとバイリンガル医療従事者の対応で、あなたの状況に合う治療プランを一緒に考えます。

各クリニックと直接確認し、最適な選択肢をわかりやすくご提案します。